なら学研究会

奈良女子大学なら学研究センターのワーキンググループ「なら学研究会」の活動報告。奈良の研究史・研究者の回顧・再評価をおこなっています。

【もくじ】澤田四郎作『無花果』(坂本書店、大正15年12月)

  • もくじ
  • 【参考】序文

「性の表徴叢書」第一部として刊行。これについては下記序文参照。またおなじく序文によれば、本書は坂本書店の「閑話叢書」の一冊として刊行するはずであったというが、南方熊楠佐々木喜善らの著書がこの叢書のうちにある。

  「閑話叢書」刊行について

所謂玄人側の文芸ものにはもう飽きた、それかと云つて堅くるしい論説では胸がつかへる——といふ人々の為めに、この叢書をすゝめます。

 一、土俗・民譚・伝説

 二、逸事・奇聞・巷説

 三、懐古談・旧事談・趣味談

 四、肩の凝らない考証もの

 五、すつきりしたエロチツクな話

これが此の叢書編纂の目標です。この書によつて、やゝもすれば忘れられようとする心のふるさとを、静かにふりかへつて見ようではありませんか。

〔1〕南方閑話  南方熊楠

〔2〕土俗私考  中山太郎

〔3〕東奥異聞  佐々木喜善

〔4〕長崎丸山噺 本山桂川

〔5〕武相考古  石野瑛

〔6〕江戸伝説  佐藤隆

〔7〕民俗叢噺  谷川磐雄

〔8〕海島風趣  本山桂川

編輯者 本山桂川

発行所 東京市神田区表神保町拾番地

     坂本書店

      振替東京四七五三五番 

 なお、磯部所蔵『無花果』には「発禁本」の朱印が押捺されている。

続きを読む

【もくじ】澤田四郎作『大和昔譚』(私家版、昭和6年10月)

  • もくじ
  • 【参考】自序

奥付は次のとおり。

昭和六年十月廿五日印刷/昭和六年十月廿九日発行/〔非売品〕/編輯発行者 大阪市西成区玉出本通一丁目十二番地 澤田四郎作/印刷者 奈良市般若寺町廿一番地 八田徳治郎/印刷所 奈良市般若寺町廿二番地 奈良文化学会印刷部 電一、一〇四番

菊判くるみ装。「祖母満八周年忌記念」の一書。内題「大和昔譚/医学博士 澤田四郎作」。参考として澤田四郎作自序も掲載する。

続きを読む

【もくじ】『澤田四郎作博士記念 民俗学論叢』(昭和47)

  • はじめに
  • もくじ

昭和47年5月、沢田四郎作先生を偲ぶ会発行。編集は奥村隆彦・原泰根。

澤田四郎作は昭和46年5月18日歿(享年71)。偲ぶ会の発起人は、岩切彰・大江美ヤ子・大藤時彦後藤捷一・柴田実・高谷重夫・松井佳一・水木直箭・宮本常一。同書「はじめに」を以下に引用する。

続きを読む

「なら学」基礎文献の紹介

奈良女子大学文学部『研究教育年報』12号(2015.12)に、今後の「なら学」研究の礎となる文献が二本掲載され、奈良女子大学学術情報リポジトリで公開されました。

 

(1)山上豊:戦後奈良県の地方史誌の刊行とその執筆者たち

Nara Women's University Digital Information Repository: 戦後奈良県の地方史誌の刊行とその執筆者たち

(2)浦西勉:奈良県における民俗調査を通して地域郷土文化史を研究した先達

Nara Women's University Digital Information Repository: 奈良県における民俗調査を通して地域郷土文化史を研究した先達

  

両氏はともに「なら学研究会」のメンバーで、上記は第1〜3回研究会での報告に基づくものです。

リンク先よりダウンロードしてご覧ください。

澤田酒造での聞き取り調査

sawaf:id:narastudies:20170304150258j:plain
  • 【日時】2017年3月4日(土)10時〜
  • 【場所】澤田酒造株式会社
  • 【参加】寺岡・岩坂・山上・樽井・磯部

澤田四郎作研究の一環として、澤田の生家、澤田酒造にお邪魔して四郎作に関するお話をうかがってきました。澤田酒造は天保元年(1830)創業にかかる老舗の酒蔵で、澤田のご本家。

今回お話をうかがったのは、六代目ご当主の澤田定至人さんです。澤田四郎作は、ご当主にとっては「おじいちゃんの弟」にあたります。

澤田四郎作にとって、生家は文字どおり原点にあたります。祖母や母から聞いた昔話、二上山の麓、五位堂という風土。文献からは澤田の原風景としての五位堂が浮かびあがってきますが、今日はこれに加えて、澤田家の家風・気質、そして澤田家に伝わる幼少時代の四郎作の話をうかがうことができました。なんともやんちゃな子どもだったようです。

お忙しい中、お時間を割いていただいた澤田定至人さんと御家族の皆様に感謝申し上げます。

お話をうかがったあとは、酒蔵と音楽院も見学させていただきました。交わるとは想像もつかない酒造り・医学・音楽が見事に融合した澤田家に圧倒された半日でした。

f:id:narastudies:20170304150254j:plain

※ 遠方に二上山を望む。踏切をわたった先に、澤田医院(四郎作の兄が開業)があります。

【17】狭川宗玄:東大寺と狭川家

f:id:narastudies:20170327095051j:plain

第17回なら学研究会

※ 狭川氏は1920年奈良県生。96歳。1932年に東大寺入寺。その後、東大寺教学執事、執事長、大仏殿主任、華厳宗管長・東大寺住職などを歴任されました。 

日時・会場
  • 【日時】2017年2月6日(月)14時〜
  • 【場所】奈良女子大学文学系N棟201教室
参加記

今回のなら学研究会は、東大寺の狭川長老にお越しいただきました。
研究会では以前から、奈良大和の知的・文化的文脈において、宗教やそれに関わる方々が果たしてきた役割は極めて大きいものがあることをしばしば話題にしてきました。
今回その第一回目の試みとして、東大寺の戦前からの歴史を知る狭川宗玄長老にお越しいただきました。
東大寺の歴史、そして学園のお話、お水取りのお話・・・。昭和19年参籠中の応召、北林院の歴史など、狭川長老や狭川家の個人史の視点から語られるお話に一同時間を忘れて耳を傾けました。