なら学研究会

奈良女子大学文学部「なら学プロジェクト」のワーキンググループ「なら学研究会」の活動報告。奈良の研究史・研究者の回顧・再評価をおこなっています。

【18】松田度:岸田日出男の遺したもの_大淀町岸田家所蔵資料から

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平成29年度第1回なら学談話会・第18回なら学研究会

【講師】松田度氏(研究グループ「吉野の会」代表・奈良県大淀町教育委員会学芸員

【演題】岸田日出男の遺したもの_大淀町岸田家所蔵資料から

会場等

【日時】2017年7月30日(日)14:00〜

【会場】N339教室(奈良女子大学文学系N棟3階)

【参加】20名

開催文

地域の方と「奈良」についての学びを深める、なら学談話会を開催します。

奈良・大和研究、研究者の回顧・再評価をおこなっている、なら学研究会を兼ねて実施します。

今回は吉野熊野国立公園の指定に尽力し、各地の民俗調査を行った岸田日出男(1890-1959)についてです。

近年、存在の知られることとなった岸田氏の旧蔵資料類(貴重な映像を含む)について、その整理・検討にあたっておられる松田度氏にお越しいただき、資料から伺われる岸田日出男についてお話いただきます。

参加記

岸田日出男のことは『吉野風土記』や澤田四郎作の関係で名前は知っていたけれど、彼の知的背景をうかがい知れる貴重な旧蔵資料が遺っているのは、初めて知りました。

整理・検討をはじめたところとのことで詳細はこれからということですが、吉野や奈良を多角的に検証する可能性を秘めているということで、研究の進展がとても待ち望まれるところです。

今回は大正11年(1922)の「吉野群峰」(内務省衛生局)や昭和12年(1937)ころの「熊野路」(鉄道省)など、貴重な記録映画フィルムを見ることができました。時期は違うけれども、あの『吉野葛』の同時代世界をこの目で見られるとは。。。感動。冒頭の画像、紋付きを羽織っている剃髪の御仁は、大台教会を開設した古川嵩だそうで。。。すごいな。

こうした記録フィルムは可燃性なのだそうで然るべきところで適切に保存しなければならないだけれど、奈良県内にその然るべきところがないのだという。また、簡易デジタルではなく、よりクリアな画像となると越えるべき課題は多いのだそう。今回は、そうしたノウハウについての議論も交わされましたが、デジタル化→現物廃棄という短絡的な意見が跋扈するなか、資料保存がその資料の価値をきちんと見さだめ、それを後世にどう托していくのかという「覚悟」と表裏にあることを、あらためて痛感しました。

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