なら学研究会

奈良女子大学なら学研究センターのワーキンググループ「なら学研究会」の活動報告。奈良の研究史・研究者の回顧・再評価をおこなっています。

【19】中野重宏:奈良尾花座と奈良の人・町・映画

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平成29年度 第19回なら学研究会

【講師】中野重宏氏(ホテルサンルート奈良・会長)

【演題】奈良尾花座と奈良の人・町・映画

会場等

【日時】2017年10月29日(日)13:30〜

【会場】奈良市史料保存館、ホテルサンルート奈良

【参加】12名

開催文

今回は、奈良で映画館・ホテルを経営してこられた中野重宏氏(1928年生まれ)がこのたび自叙伝『奈良の尾花座百年物語』を出版されました。中野氏は、奈良の町・文化・映画・観光についての貴重な語り部です。ちょうど奈良町の資料保存館で尾花座(芝居小屋時代)の展示がおこなわれていますので、その展示見学とあわせて、中野氏にその半生を語っていただきます。

参加記

今回のなら学研究会は奈良町を会場にして行われました。

台風接近というあいにくの天候、一次会場の奈良市史料保存館に集合した頃は、風雨ともに強まったときでした。悪天候にもかかわらず大学教員(他大学含む)、奈良女の学生、学芸員の方、郷土史に興味のある方、情報誌編集者など、多彩な顔ぶれ集まってくれました。

館内では、尾花座(芝居小屋)時代の史料や閉館(映画館への転業)を伝える新聞史料などを見学しました。岩坂氏がまず概要説明をした後、参加者がそれぞれ持っている知識を紹介しながら史料を説明しあうという学び合いの時間となりました。尾花座に残されていた多数の奉献額は大変見応えがあり、その時代の芸能史の一端をありありと伝えるものでした。

その後、雨のなか、ホテルサンルートに移動し、ここから参加するメンバーを加えて第二部が始まりました。本日の話者である中野重宏氏は非常に記憶が明晰な方で、参加者の様々な質問にたいして、とても詳しく、わかりやすく話してくださいました。とくに芝居小屋時代から映画館開館への時期について、そしてホテルサンルートが立地する菩提町の当時の様子について、たくさんのやり取りがありました。奈良の町で映画館が活況であった時代、また芝居から映画へと移り変わる風景が目に浮かぶようなお話でした。