なら学研究会

奈良女子大学文学部「なら学プロジェクト」のワーキンググループ「なら学研究会」の活動報告。奈良の研究史・研究者の回顧・再評価をおこなっています。

【20】岡島永昌:保井芳太郎のコレクション形成とその背景

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平成29年度 第20回なら学研究会

【講師】岡島永昌氏(王寺町教育委員会

【演題】保井芳太郎のコレクション形成とその背景

会場等

【日時】2018年2月24日(日)13:30〜

【会場】奈良女子大学文学系N棟N339教室

【参加】7名

開催文

今回は、奈良・大和の代表的な古物・古文書蒐集家、保井芳太郎についてです。近代奈良・大和の研究において、こうした蒐集家のネットワークや足跡の重要性が、最近注目されるようになってきています。水木要太郎がその代表格とされますが、保井の存在はこうした人々や、大和の郷土史研究ネットワークとどのようにつながっていたのか。

参加記

大和古瓦と保井芳太郎はセットになるくらい著名な人物です。

おそらく最初は趣味的なものだったのでしょうが、天沼俊一や水木要太郎ら研究者との出会いが保井の蒐集に方法論を持ち込むことになり、自身の営為に研究という補助線ができるようになったとのこと。けれども保井は集めたものを秘匿することなく、自宅で古瓦の展示会を開いたり、誰彼の研究のために惜しみなく貸し出したりしていたそうです。

保井の古物・古文書蒐集にみられる郷土性とアカデミズムの両面を岡島氏は指摘しましたが、こうした態度は「蒐集家」とか「コレクター」といった言葉には収まりきらない性質のように思います。保井の古瓦蒐集は、近世から続く旧家で地元の素封家という自身の出自と、自ら村史を編もうとして史料を集めていた叔父の存在がきっかけにあるようですが、そうした来歴が背景にあるのでしょうか。私たちなら学研究会では澤田四郎作のプロデューサー・メディエーターとしての側面を考察してきましたが、澤田のそうしたあり方ともどこか違うようにも思います。

どのようなワードでもって彼を評価しうるのか。保井芳太郎はとても興味深い存在になりました。

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