第31回なら学研究会が2月20日にオンラインで行なわれた。参加者10名。
今回は、本学准教授でなら学研究センターの研究員でもある磯部敦
最近、磯部氏は、近代以降の奈良県内にあった印刷所・出版会(者
磯部敦「近代奈良県書物文化環境一覧」(『なら学研究報告』4号、2020年9月)
https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/TD00275412
こうした広い視野から、主として以下の3点について話題が提供さ
- なら学研究会がメインテーマのひとつに掲げている澤田四郎作文献についての研究の進捗状況と見えてきた課題
- 奈良女子大学名誉教授横田俊一旧蔵書籍群と「なら学」的課題
- 最近の入手資料から浮かび挙がる「なら学」的課題
テーマごとに、これまでに本研究会で公刊されてきた資料(多くは『なら学研究報告』として本学レポジトリで公開)を振り返るかたちとなり、それは本研究会の近年の作業を振り返る経験ともなった。
またとくに新たに着目された横田俊一氏については、短歌をめぐる人的ネットワークの存在感が参加者に強く認識された。当日は、複数の近代短歌研究者の方、現代史研究者、そして実際に大和で短歌誌を出してこられた方などが出席され、非常に内容の濃い会となった。したがって新たに提供された情報や知見も多かった。例えば、奈良の歌人と大阪の歌人文化人とのつながりの深さ、さらに大阪を通した阪神間文化人とのつながりなどがその一例である。こうしたネットワークの在り方は、本研究会がこれまで資料調査や研究を進めてきた澤田四郎作の立ち位置ともオーバラップする。
上記の他にも、磯部氏が最近入手された奈良県内発行の文化誌や史料が紹介された。そして澤田を含めたこうした史料の活用やネットワークの研究を、ゆるやかな共同のなかで進める時期にきている、という提案が、最後に磯部氏からなされた。
以上、これまでの研究の回顧とこれからの研究の展望の両方について大きな刺激を受けた一日であった。