なら学研究会

奈良女子大学なら学研究センターのワーキンググループ「なら学研究会」の活動報告。奈良の研究史・研究者の回顧・再評価をおこなっています。

【もくじ】『五倍子遺歌集 面影』(昭和52)

澤田四郎作の妻である幸の編集発行。奥付は次のとおり。

昭和五十二年四月十五日印刷/昭和五十二年五月一日発行/五倍子遺歌集 面影/著者 澤田四郎作/発行者 澤田幸/発行所 大阪市西成区玉出東一−九−一四/印刷者 熱見稔

出版の経緯や本書の特徴は、幸による「はじめに」に次のようにある。

先日たま〳〵復員後に出版せられました「異国より帰りて」を読みその中の短歌に心引かれ読み返してゐるうちにこの短歌を集めて想い出のよすがにしたいとこの歌の出版を思い立ちました。短歌は大変好きな人で民俗学の傍ら歌集をよく読んでいましたが戦後自分の作歌らしいものはなく戦前のは聞かずにゐましたので戦争中から捕虜生活中のものばかりで一生通じて一番暗い灰色の苦しい生活の中から詠まれた歌ばかりでございます。

澤田は折口信夫釈迢空)とも親交があって、折口詠歌の色紙が澤田家と大阪大谷大学澤田文庫に遺っている。

澤田の作歌営為は、個人的な趣味嗜好というよりは、学問との関連において培われたものではなかろうか。その学問が民俗学に帰着するのか、それとももっと広い視野に立ってのことなのかは考察を要するが、人や土地や生活へのまなざしは、作歌の心性とパラレルにあるように思う。

かつてなら学研究会で講演された喜夛隆子や、喜夛が師事した前登志夫らに鑑みるに、この問題はもっと考究していく必要があるだろ。

なお本書口絵には、柳田の詠歌「みみずくの 林かくれの しのびねを わがにはとりの あざわらふこえ」を彫りつけた石碑写真が掲載されている。これがいまどこにあるのかは、知らない。

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【もくじ】『沢田四郎作博士記念文集』(昭和47)

1972/昭和47年5月刊行(非売品)。編集は奥村隆彦・原泰根、代表は高谷重夫

本書「論叢」掲載の各論考は、『沢田四郎作博士記念 民俗学論叢』と共通する。

その前後について、本書「編集後記」にある、

この記念文集を手にして頂いて、特に追悼文、或は、論文をかいて頂いた方々には、その編集内容等に御不満を感ぜられる事と思う。編集子としても、決して之が最善とは思って居らないが、熟考の上、大きく追悼文と追悼論叢に分け、更に、前者は御遺族関係の手記を先にし、その次に各人方の追悼文を五十音順にのせさせて頂いた。又、後者も前者と同じく五十音順とし両方共原稿〆切後入手したものは、その次に到着順に掲載させて頂いた。この記念文集は、純然たる民俗学会の発行ではないということも考慮してある。(奥村隆彦記)

から推すに、本書の企画が先にあったようである。

発起人については『民俗学論叢』のページを参照いただきたい。 

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プロジェクト関連の打ち合わせ(澤田四郎作研究)

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  • 日時:2017年4月22日(土)、15時~
  • 場所:ベセル(喫茶店)
  • 参加:磯部・岩坂・樽井・寺岡・山上

全学一斉停電のため、猫雑貨ベセルさん(喫茶店のほう)で打ち合わせ。生ジュースが美味なのであった。

奈良女子大学研究推進プロジェクトの成果のひとつとして澤田四郎作に関するパンフレットを作成する予定でいるが、今回はその構成と内容を話しあいました。

印刷して配布するほか、本ウェブサイトでもPDFでダウンロードできるようにする予定です。

【もくじ】『五倍子雑筆』1〜13号(澤田四郎作私家版)

  • 第1号(昭和9年7月)
    • もくじ 
    • 【参考】「初夏御伺」
    • 【参考】小序
  • 第2号(昭和10年1月)
    • もくじ
    • 【参考】緒言
  • 第3号(昭和10年8月)
    • もくじ
    • 【参考】緒言
  • 第4・5号(昭和11年7月)
    • もくじ
    • 【参考】「民俗資料」
  • 第6号(昭和13年1月)
    • もくじ
  • 第7号『飛騨採訪日誌』(昭和13年5月)
    • もくじ
    • 【参考】後記
  • 第8号『続飛騨採訪日誌』(昭和14年1月)
    • もくじ
  • 第9号『手向草』(昭和14年6月)
    • もくじ
    • 【参考】後記
  • 第10号『うつしばな』(昭和18年8月)
    • もくじ
  • 第11号『異国より帰りて』(昭和24年11月)
    • もくじ
  • 第12号『熊岳城温泉付近遺跡の研究』(昭和26年1月)
    • もくじ
  • 第13号『シベリヤ日記』(昭和29年10月)
    • もくじ

表紙は山口草平筆。

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【もくじ】澤田四郎作『ふるさと』(私家版、昭和6年2月)

  • もくじ
  • 【参考】自序
  • 【参考】後記

 奥付は次のとおり。

昭和六年二月十五日印刷/昭和六年二月二十日発行/非売品/編者 澤田四郎作/印刷兼発行者 東京市外西巣鴨庚申塚三二〇 澤田四郎作/印刷所 東京市外蒲田 株式会社三省堂蒲田工場

柳田國男が序文を寄せいているが、この前に「澤田四郎作編 ふるさと方言補遺」(14p)を付した別本が存する。奥付等に違いはない。柳田序文「小序」は『退読書歴』(書物展望社1933)に収録されている。『柳田國男全集』7巻(筑摩書房1998p.269)、『定本柳田國男集』23巻(筑摩書房1964p.68)にも収載。

参考として、澤田四郎作自序および後記を付す。後記署名「贄川虔太郎」は、『五倍子遺歌集 面影』によれば「故日夏耿之介より頂」いたものとのこと。なお、『五倍子遺歌集』は澤田四郎作歿後に後妻の幸が発行した書物1977年)。

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【もくじ】澤田四郎作『無花果』(坂本書店、大正15年12月)

  • もくじ
  • 【参考】序文

「性の表徴叢書」第一部として刊行。これについては下記序文参照。またおなじく序文によれば、本書は坂本書店の「閑話叢書」の一冊として刊行するはずであったというが、南方熊楠佐々木喜善らの著書がこの叢書のうちにある。

  「閑話叢書」刊行について

所謂玄人側の文芸ものにはもう飽きた、それかと云つて堅くるしい論説では胸がつかへる——といふ人々の為めに、この叢書をすゝめます。

 一、土俗・民譚・伝説

 二、逸事・奇聞・巷説

 三、懐古談・旧事談・趣味談

 四、肩の凝らない考証もの

 五、すつきりしたエロチツクな話

これが此の叢書編纂の目標です。この書によつて、やゝもすれば忘れられようとする心のふるさとを、静かにふりかへつて見ようではありませんか。

〔1〕南方閑話  南方熊楠

〔2〕土俗私考  中山太郎

〔3〕東奥異聞  佐々木喜善

〔4〕長崎丸山噺 本山桂川

〔5〕武相考古  石野瑛

〔6〕江戸伝説  佐藤隆

〔7〕民俗叢噺  谷川磐雄

〔8〕海島風趣  本山桂川

編輯者 本山桂川

発行所 東京市神田区表神保町拾番地

     坂本書店

      振替東京四七五三五番 

 なお、磯部所蔵『無花果』には「発禁本」の朱印が押捺されている。

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【もくじ】澤田四郎作『大和昔譚』(私家版、昭和6年10月)

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  • 【参考】自序

奥付は次のとおり。

昭和六年十月廿五日印刷/昭和六年十月廿九日発行/〔非売品〕/編輯発行者 大阪市西成区玉出本通一丁目十二番地 澤田四郎作/印刷者 奈良市般若寺町廿一番地 八田徳治郎/印刷所 奈良市般若寺町廿二番地 奈良文化学会印刷部 電一、一〇四番

菊判くるみ装。「祖母満八周年忌記念」の一書。内題「大和昔譚/医学博士 澤田四郎作」。参考として澤田四郎作自序も掲載する。

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