なら学研究会

奈良女子大学なら学研究センターのワーキンググループ「なら学研究会」の活動報告。奈良の研究史・研究者の回顧・再評価をおこなっています。

【37】近世大和に存在した観光案内人

【テーマ】「近世大和に存在した観光案内人」

【講師】安田真紀子氏(奈良からくりおもちゃ館館長、奈良大学講師)

■ 日時 2023年9月10日(日)14:00〜

■ 形態 オンライン

■ 参加 20名(途中の出入りあり)

本研究会で講師の安田真紀子氏は、近世資料を提示しながら江戸時代に大和に存在した3種類の「観光案内人」について詳しく語ってくださった。

奈良町を中心として案内を行った人々、大和の大社寺を起点として案内した人々、さらに、伊勢詣の人々の大和巡りを荷持ちを兼ねて付き添い、吉野・高野をへて大阪まで案内した人々。彼らと地元の宿や土産物屋、社寺、さらに奉行所などとの関わりつつ、その人数を拡大していったこと様子は、現在我々が目にする旅行業との類似性すら感じさせるものでした。しかしその一方で、幕末から明治への変動期を経て、これらの人々が、明治期に登場する観光案内人と連続するものなのか否か、などについては、参加者からも様々な意見や議論がでたが、これからの課題として残った。多彩な観光案内人の生態に興味の尽きない時間でした。

今回は、静岡、東京など、全国から関心を寄せる方が参加くださった。こうした近世の観光案内人が他地域ではどのような存在であったのか、日本の観光史研究において興味深い提起を含んでいた。