なら学研究会

奈良女子大学なら学研究センターのワーキンググループ「なら学研究会」の活動報告。奈良の研究史・研究者の回顧・再評価をおこなっています。

樽井由紀『奈良盆地におけるノガミ行事に関する研究 その1』の公開

樽井由紀氏(奈良女子大学非常勤講師、大和・紀伊半島学研究所なら学研究センター協力研究員)による『奈良盆地におけるノガミ行事に関する研究 その1』(令和2年度奈良女子大学大和・紀伊半島学研究所一般共同研究助成金報告書、2021年3月)が公開されました。

 

 

ノガミ(野神)行事とは、報告書によれば、

奈良盆地では、水田の端に在る森や大木を農耕の守り神を、ノガミとして祀る。このノガミの木の下に祠や塚があることもある。ノガミの木や塚は村堺に位置することが多く、神聖な場所と見なされ、祟りを恐れて、近づくことはないが、一年に一度、田植え前にその場所に集まり、子孫繁栄、五穀豊穣を願う行事が執り行われる。(p.1)

ことをいいますが、樽井氏のこの報告では、農業の衰退と民俗行事の変化をふまえた現在進行形かつ未来への継承という問題意識で聞き取り調査等をおこなっています。その意味でこれは、行事のみならず調査研究の方法そのものが論点にもなっている報告書ともいえましょう。

ぜひぜひご一読くださいませ。